パートナー
田村裕一郎
弁護士・ニューヨーク州弁護士
第一東京弁護士会
労働組合との交渉のポイントは、次のとおりです。 ①労働組合の過大な要求には応じない。 労働組合は、法律上正当な要求をしてくる場合もあれば、過大な要求をしてくる場合があります。会社(法人)が法的義務を負っていないにもかかわらず、あたかも義務があるかのような主張をしてくる場合もあります。 労働組合の要求を法的観点及び実務的観点から分析した上で、どこまで応じるかを判断し、交渉していくことが必要です。 ②労働組合と闘うと同時に、組合の信頼を得る 「闘う。」という視点と、「信頼を得る。」という視点は、一見すると矛盾するようですが、いずれも、重要な視点です。 ③終着駅を探る 労働組合と徹底的に闘うというのも、1つの方法です。ただ、紛争を長期化させるよりも、どこかで妥協点を見出し、解決した方が、会社(法人)と労働組合(組合員を含む)にとって、プラスになると思います。 |
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労働組合から文書化要求が行われることは、多いです。例えば、 ①議事録確認に応じよ ②覚書を作成したので、押印せよ ③団体交渉での合意内容を書面化したので、サインせよ といった要求です。 「議事録だから、いいだろう。」とか、「覚書だから、後で変更すればよい。」といった考えは、危険です。 文書の名称が何であれ、労働協約と判断されるリスクがあります。上記の要求を受けたら、 (1)文書化に応じる義務があるか、 (2)文書化に応じる義務があるとしても、その文書内容で問題がないか、 を専門家にチェックしてもらってください。 ♯なお、上記(1)文書化に応じる義務があるか、は団体交渉の内容も影響してくるので、可能であれば、団体交渉の準備段階と団体交渉の現場において、専門家の助言を得ておくと良いです。 |
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同じ議題について、何度も同じ議論が繰り返され、団体交渉を続ける意味がない場合、会社(法人)としては、団体交渉の打ち切りを検討することになります。 では、何回くらい、同じ議題についての同じ議論が繰り返されれば、団体交渉を打ち切って良いのでしょうか。 この判断は、おそらく、労働法の専門家でも議論が分かれると思います。理由は、決まったルールがあるわけではなく、交渉議題や交渉内容その他の事情を総合的に勘案して判断されるからです。 この判断を誤り、法的義務があるにもかかわらず、交渉を打ち切った場合、不当労働行為となるリスクがありますので、外部専門家からの助言を受け、そのリスクを踏まえつつ、最終的には、会社(法人)が判断していくことになります。 |
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