組合対応(FAQ)「団体交渉の決裂」

労働組合との団体交渉の決裂

Q7-1.合同労組(外部ユニオン)との間で合意が妥結できないと、どうなりますか。

団体交渉が決裂した場合A.
組合によって、以下の手続や実力行使という手段を採られる可能性があります。
①裁判所:労働審判、仮処分、訴訟
②労働委員会:あっせん・救済申立など
③ 組合活動:情宣活動など
実務対応SNSの普及により、労働組合はSNSを併用して情宣活動をするケースが増えてきています。
使用者として、これらに対する対応策を講じる必要があります。
この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。

Q7-2.労働委員会によるあっせんはどのようなものですか。メリットとデメリットを教えてください。

労働委員会によるあっせんA.
「あっせん」とは、あっせん員が関係当事者間をとりもって、双方の主張の要点を確かめ、事件が解決されるように努める手続をいいます(労働関係調整法13条)。
あっせん手続は、以下の順序で進行します。
①労働組合・使用者によるあっせん申請
②労働委員会によるあっせん員の指名
③あっせん期日(あっせん員によって双方から事情聴取、2~3回程度)
④合意やあっせん案の促し
上記の手続において、労使双方が合意にこぎ着けた場合には書面で協定を結びます。合意が成立しないことが明らかになった場合には、あっせんは打切りとなります。
労働委員会によるあっせんのメリットは、(a)第三者が和解を勧めてくれることで和解しやすくなること、(b)使用者からあっせんを申請できることです。
労働委員会によるあっせんのデメリットは、ⅰ.相手方があっせんに応じないときには手続を開始できないこと、ⅱ.あっせんという性質上労使双方の主張を「足して2で割る」という中間的な解決になりやすいことです。
実務対応「あっせん」においては、いかに使用者側の対応に問題がなかったことを主張しつつ、和解の妥協点を模索するための戦略的を立てることが重要です。
この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。
Q7-3.団体交渉の打ち切りについて、教えてください。
団体交渉の打ち切り使用者が、団体交渉の進捗状況を全く考えずに、一方的に団体交渉を打ち切ると、不当労働行為となりえます。
もっとも、使用者側と労働者側が、団体交渉を重ねたにもかかわらず、最終的に双方の見解の対立を解消できず、議論が平行線となる場合があります。このような場合、合意の見込みが全くありませんので、使用者の団交拒否も正当な対応となります。
実務対応使用者による団体交渉の打ち切り(団体交渉)も、事案によって正当化される可能性がありますが、その判断は、団体交渉の回数や内容等を総合的に考慮する必要があります。
この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。

ビラ配り

Q7-4.合同労組が行うビラ貼りについて教えてください。
ビラ貼りビラ貼りとは、組合が、要求事項を記載したビラを施設に張り付けることを指します。
まず、ビラ貼りは、建造物損壊罪(刑法260条)や、器物損壊罪(刑法261条)に該当しうることから、刑事面で問題となりえます。これらの罪が成立するかの判断にあたっては、ビラの枚数、貼付場所、外観(美観)、施設の効用の支障、原状回復の難易等が考慮されます(金沢タクシー事件(最一小判昭和43年1月18日))。
次に、事業場内で行われるビラ貼りは、使用者の施設管理権を侵害するのではないかという問題が生じます。この点については、憲法28条が労働者の団結権等を保障していることから、使用者の施設管理権は一定の制約を受け、使用者の承認を得ないでなされたビラ貼りも、正当とされる範囲内であれば使用者は受忍義務を負うという見解があります。
しかし、最高裁は、労働組合が使用者の承諾を得ないで企業施設を利用して組合活動を行うことは、その利用を許さないことが使用者の施設管理権の濫用と認められる特段の事情がない限り正当性を有しないとしました(国鉄札幌運転区事件(最三小判昭和54年10月30日))。
使用者は、正当性のないビラ貼りに対して、組合に撤去要求ができます。組合が撤去要求に応じない場合には、使用者は自力救済としてビラの撤去をすることができます。この場合、使用者は、組合に対して、ビラの撤去費用、壁の修繕費用等の費用を、損害賠償として請求していくべきです。
実務対応使用者として、合同労組が行う情宣活動等に対して、どのように対応するかは、様々な要因を考慮した上で、決定する必要があります。
この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。
Q7-5.合同労組が行うビラ配布について、教えてください。
ビラ配布ビラ配布とは、組合が、要求事項を記載したビラを配ることを指します。
ビラ配布が事務所内で行われた場合、使用者の施設管理権との関係で問題が生じます。最高裁は、従業員によるビラ配布一般について、事業場内でのビラ配布の許可制を定めた就業規則は有効であり、従業員がそれに違反すれば懲戒の対象となりますが、事業場の「秩序風紀を乱すおそれのない特別の事情」がある場合は許可制の規定の違反とはならないとしています(電電公社目黒電報電話局事件(最三小判昭和52年12月13日))。
その後、最高裁は、私立学校の職員室におけるビラ配布に対してなされた懲戒処分について、配布方法も平穏で、生徒があまり入室しない時間帯になされていることから、職場規律を乱すおそれのない特別の事情があり、就業規則の懲戒事由にはあたらず、学校の組合に対する嫌悪の姿勢等に徴すれば、不当労働行為(労組法7条1号・3号)にあたると判断しました(倉田学園事件(最三小判平成6年12月20日))。
なお、ビラの内容において、使用者等の名誉・信用を棄損する等の問題があります。虚偽で会社の信用を毀損し業務運営に影響を与える内容や、必要性や関連性のない営業秘密を公表する内容などの場合には、ビラ配布の正当性が否定されます(中国電力事件(最三小判平成4年3月3日)等)。
実務対応使用者として、合同労組が行う情宣活動等に対して、どのように対応するかは、様々な要因を考慮した上で、決定する必要があります。
この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。
Q7-6.ストライキ、ピケッティングについて、教えてください。
ストライキ・ピケッティング交渉が決裂した場合、組合が、ストライキやピケッティング等の争議行為に及ぶことも考えられます。
ストライキ(同盟罷業)とは、一定の労働者が同時に労務を停止する行為を指し、争議手段の代表的なものです。
ピケッティングとは、本来、ストライキ中の監視行動や顧客への協力呼びかけを指します。しかし、日本においては、スクラムを組んで通行を禁止するといった形がとられてきました。
実務対応使用者として、合同労組が行う情宣活動等に対して、どのように対応するかは、様々な要因を考慮した上で、決定する必要があります。
この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。
Q7-7.争議行為の正当性の判断基準(態様を除く)を教えてください。
争議行為の正当性の判断正当な争議行為には、刑事免責及び民事免責という法的保護が与えられます(労働組合法第1条2項、第8条参照)。争議行為の正当性については、主体、目的、開始時期・手続、態様の4つの側面から判断されます。
ⅰ 主体
争議行為の主体は、団体交渉の主体となりうる者(第2章2⑶参照)であることが必要です。争議権は、団体交渉における労使の対等性を確保し、交渉の行詰まりを打開するための権利であるからです 。
したがって、組合員の一部が組合全体の意思に基づかずに行う、いわゆる「山猫スト」には正当性は認められません。
ⅱ 目的
争議行為の目的は、団体交渉の対象となるべき事項(義務的団交事項)、つまり、①労働条件その他の労働者の待遇、および、②労使関係の運営に関する事項に限定されます。争議権は、団体交渉を機能させるための権利として保障されているからです。
例えば、政治的要求のために使用者でなく国家や政府を名宛人とする「(純粋)政治スト」は正当性を欠きます。さらに、最高裁は、労働者の経済的利益に直接関係がある立法や政策に関するストライキについても、正当性を否定しています(全農林警職法事件(最大判昭和48年4月25日)、三菱重工業事件(最二小判平成4年9月25日))。また、使用者と争議状態にある他の労働者の要求の実現を支援するために行われる「同情スト」も、その使用者と団体交渉によって解決することを目的とはしていないため、正当性が否定されます 。
ⅲ 開始時期
団体交渉を経ないで行われる争議行為には、正当性は認められません。争議権は、団体交渉における具体的な折衝を進展させるために保障された権利であるからです。
実務対応使用者として、争議行為の正当性を見極めた上で、対策を講じる必要がありますが、この見極めが難しいケースがあります。
この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。
Q7-8.争議行為の正当性の判断基準(態様)を教えてください(後半)。
争議行為の正当性の判断基準ⅳ 態様
争議行為の態様の正当性に関する一般的な基準は、以下の通りです。
第一に、労務の不提供という消極的態様にとどまっているかぎり、原則として正当性が認められます。
第二に、争議行使の開始にあたっては、その内容、開始時期、期間などを相手方に明らかにすべきであり、また、終了に際しても、時期を明らかにした通告をすべきであるとされています 。
第三に、単に消極的行為にとどまらず、積極的行為を伴う争議行為の場合には、使用者の営業の自由や企業施設に対する所有権その他の財産権との調和が求められます。したがって、生産管理(労働組合が使用者から経営権を奪って独自に生産活動を行うこと)や、排他的な職場占拠(使用者の占有を排除し、その操業も妨げること)は、正当性が否定されます 。
第四に、暴力の行使を伴う争議行為は、人身の自由・安全という法秩序の基本原則に反するため、正当性は認められません(労組法1条2項但書参照)。また、同様の理由により、私生活上の自由や平穏を侵害する行為も、正当性が否定されます(東京ふじせ企画労組事件(東京地決平成元年3月24日)等)。
実務対応使用者として、争議行為の正当性を見極めた上で、対策を講じる必要がありますが、この見極めが難しいケースがあります。
この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。
Q7-9.交渉が決裂した場合、組合又は組合員がとりうる法的手続を教えてください。
法的手続交渉が決裂した場合、組合又は組合員が、次の法的手続を選ぶ場合があります。
①労働委員会
②民事調停
③労働審判
④民事訴訟
⑤保全訴訟
⑥少額訴訟
実務対応交渉が決裂した場合、使用者としては、組合が法的手続を選んだ場合、どれを選択するかをあらかじめ予測した上で、早期に証拠等の準備をしておくことが重要です。
この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。

労基署への告発

監督官庁への告発

株主総会での街宣

労働審判・労働訴訟

労働委員会

Q7-10.労働委員会について教えてください。
労働委員会労働組合との交渉が決裂した場合、組合または組合員が労働委員会に救済や調整を申し立てる可能性があります。
労働委員会とは、労働組合法によって設置された独立行政委員会です(労組法19条以下)。労働委員会の構成員は、使用者を代表する使用者委員、労働者を代表する労働者委員、公益を代表する公益委員の三者です(労組法19条1項)。三者構成であることから、公益および労使の利益を適切に調和させることが期待されています。
労働委員会の種類には、中央労働委員会(労組法19条の2以下)と都道府県労働委員会(労組法19条の12以下)の2つがあります。通常、申立ては、まず都道府県労働委員会に対してなされ、都道府県労働委員会の命令に不服がある場合に中央労働委員会に再審査の申立てをすることができるという、二審制がとられています。命令に対し不服があれば、命令の取消しを求めて訴訟を提起することもできますが、この場合、都道府県労働委員会の命令に対して直接提起することも、中央労働委員会の再審査命令に対して提起することもできます(労組法27条の19)。
労働委員会は、不当労働行為の救済と労働争議の調整という2つの権限を有していますが、両者を平行的または代替的に利用できるというのは、民事訴訟手続きにはみられない、労働委員会制度の特色といえます。
労働組合や労働者から不当労働行為の救済申立てがなされた場合、労働委員会は、調査、審問、公益委員会議などの審査手続きにより、不当労働行為の成否を判断します。審査の結果、不当労働行為の成立が認められる場合には、労働員会は救済命令を発し、認められなかった場合には棄却命令を発します(労組法27条の12)。また、審査の途中で労働委員会が和解を勧告し、和解が成立することによって審査手続きが終了することも多いです。
実務対応労働委員会にて係争する場合、審査手続のルール等がありますので、これらのルール等を踏まえた上で、主張立証をしていく必要があります。
この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。
Q7-11.民事調停について教えてください。
民事調停交渉が決裂した場合、組合員は民事調停を申し立てる可能性があります。
民事調停とは、民事調停法に基づき簡易裁判所で行われる手続きで、裁判官のほかに一般市民から選ばれた調停委員が関与します。民事調停のメリットとしては、①実情に即した解決を図ることができる、②訴訟に比べて手続きが簡単で、費用も低額である、③手続が非公開なので、秘密が守られるといった点があげられます。成立した合意の内容を記載した調停調書は、確定判決と同様の効力を持ちます。
なお、後述する労働審判制度の中に調停手続が包含されていますので、組合員が、民事調停ではなく、労働審判制度を利用してくる可能性もあります。
実務対応民事調停にて争う場合、手続のルール等がありますので、これらのルール等を踏まえた上で、主張立証をしていく必要があります。
この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。
Q7-12.労働審判について教えてください。
労働審判組合員の労働条件など個別的な労働問題に関して交渉が決裂した場合には、組合員が使用者を相手方として労働審判を申し立てる可能性があります。
労働審判は、解雇や給料の不払いなど、事業主と個々の労働者との間の労働関係に関する問題を、迅速、適正かつ実効的に解決することを目的とする手続きです。労働審判委員会の構成員は、労働審判官(裁判官)1人と労働関係に関する専門的な知識と経験を有する労働審判員2人です。労働審判委員会は、原則として3回以内の期日で審理し、適宜調停を試み、調停による解決に至らない場合には、事案の実情に即した柔軟な解決を図るための労働審判を行うことになります。現在、労働審判は、平均して約3か月で終了しています。
なお、当事者から異議の申立てがあれば、労働審判はその効力を失い、訴訟に自動的に移行するのが特徴であり、これが民事調停との大きな違いです。
実務対応
労働審判の場合、第1回期日が勝負ですので、的確に主張立証をしていく必要があります。
この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。
Q7-13.民事訴訟について教えて下さい。
民事訴訟交渉が決裂した場合、労働審判から民事訴訟に移行するケースのほか、組合員又は労働組合が、最初から民事訴訟を提起してくる可能性もあります。労働審判と異なり、労働組合も訴えを提起することができます。もっとも、組合員の個別的労働紛争に関しては、労働組合自身が当事者として訴訟を提起することはできないとされています。
民事訴訟は、裁判官が、最終的に判決によって紛争の解決を図る手続きです。労働訴訟の場合、長期にわたることが予想され、一審で1年から1年数か月、高裁で3か月から1年、最高裁で数か月かかる可能性があります。そのため、訴訟係属中の弁護士費用や、賃金請求訴訟で敗訴した場合のバックペイ(解雇以降の賃金)が高額となる傾向にあります。
実務対応民事訴訟の場合、使用者側の主張計画を立てた上で、的確に立証をしていく必要があります。
そのためには、使用者にとって有利な証拠、不利な証拠がどれ程あるか等を検討していく必要があります。
この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。
Q7-14.保全訴訟について教えて下さい。
保全訴訟交渉が決裂した場合、解雇された労働者が、従業員たる地位を仮に定めるとともに、賃金の仮払いを命じる仮処分を申し立てる可能性があります。
保全訴訟とは、通常の訴訟による権利の実現を保全するため、簡易迅速な手続きによって、裁判所が一定の仮の措置をとる暫定的・付随的な手続きです。
仮処分の申立てを認容した命令が出された場合でも、命令を発した裁判所に対し、保全異議を申し立てることができます。異議手続によって仮処分命令が取り消されたときには、裁判所は、債務者の申し立てがあれば、仮処分命令がなされる前の状態に戻すよう、原状回復の裁判をすることができます。
実務対応保全訴訟の場合、民事訴訟と比較すると、的確に主張立証をしていく必要があります。
この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。
Q7-15.少額訴訟について教えて下さい。
少額訴訟少額訴訟とは、1回の期日で審理を終えて判決をすることを原則とする、特別な手続きです。60万円以下の金銭の支払を求める場合に限り,利用することができます(民事訴訟法368条以下)。少額な労働関係紛争については、この少額訴訟が比較的よく利用されています。
訴訟の途中で話し合いにより解決(和解)することもできます。
実務対応

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パートナー 
田村裕一郎
弁護士・ニューヨーク州弁護士
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