労働組合との和解
なぜ、和解をするのか
労働組合との交渉議題には、様々なものがあります。
例えば、残業代問題、解雇問題、セクハラ・パワハラ問題といった問題では、和解合意書(名称は、和解書、覚書など何でも良いです)を締結します。
理由は、同じ紛争を蒸し返さないという点にあります。
【重要な留意点】
交渉議題の中には、上記と異なり、「書面を作成しない方が良い」場合があります。この点は、極めて重要な分岐点です。必ず、専門家の助言を得てください。
支払条項
守秘義務条項
和解合意書の中では、守秘義務条項を入れる場合があります。
これについては、
①守秘義務の当事者をどうするか、
②守秘義務の範囲をどこまで広げるか、
③守秘義務の例外条項を入れるか、
④守秘義務に違反した場合の違約金条項を入れるか、
⑤違約金条項を入れるとしても、金額をどうするか、
などを検討していきます。
精算条項
例えば、会社(法人)が、一定の金銭を支払って和解をする場合、精算条項を入れるのが一般的です。
作成名義
一般的な和解合意書では、紛争の当事者だけが署名・押印します。
ただ、労働組合が関与するケースでは、①組合員、②会社(法人)に加え、③労働組合も、署名・押印することが多いです。
Q6-1.労働協約とは何ですか。
労働協約(定義) | A. 労働協約とは、①労働組合と使用者またはその団体との間の②労働条件その他に関する協定であって、③書面に作成され、両当事者が署名または記名押印したものをいいます。 労働協約といえるかのポイントは、①当事者、②内容、及び③要式((a)書面の作成、(b)署名または記名押印)にあります。 そのため、口頭の合意だけでは、少なくとも、上記③を満たさないため、労働協約とは認められません。もっとも、交渉の結果、合意に達した内容について労働協約化することを使用者が拒否することは、誠実交渉義務に反するおそれがあるので、注意が必要です。 なお、書面の名称について、「労使協議」や「覚書」という、「労働協約」以外の名称である場合でも、上記の要件に当たれば、労働協約が成立したものと考えられています。 |
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実務対応 | 労働協約とするための書面に記載する文言の協議の際、その文言がどのような趣旨で記載されているのかを確認する必要があります。 もっとも、組合からの提案に対して記載の趣旨が不明確なケースもあります。 この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。 |
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Q6-2.労働協約の効果はどのようなものですか。
労働協約(効果) | A. 労働協約には、2つの効力が存在します。①規範的効力と、②債務的効力です。 ①「規範的効力」とは、(a)労働協約中の「労働条件その他の労働者の待遇に関する基準」に反する個別の労働契約の部分は無効となり、かつ、(b)無効となった部分は労働協約上の基準の定める内容によって補完されるという効力をいいます。 この効力は、労働協約中の全ての内容に生じるものではなく、「労働条件その他の労働者の待遇に関する基準」にのみ生じます。 規範的効力が生じる具体例は、賃金、労働時間、休日、休暇、安全衛生、職場環境、災害補償などです。 ②「債務的効力」とは、協約当事者である労働組合と使用者(使用者団体)との間の契約としての効力をいいます。 労働協約を締結した場合、協約当事者は、労働協約全般につき契約当事者としてそれを遵守し履行する義務を負います。仮に、協定当事者の一方が協約規定に反し、または規定上の義務を履行しなかったとします。その協約当事者の他方は、原則として、協約規定に反した当事者に対し、履行を請求し、または不履行によって生じた損害の賠償を求めることができます。 注意すべき点としては、例えば、労働協約に、「解雇や配置転換などの人事について組合の事前協議を要する」などの条項を定めた場合、この条項に①及び②の効力が生じます。したがって、使用者が労働組合との間で事前協議をせずに解雇等を行った場合、その解雇が無効と判断されたり、債務不履行として損害賠償の請求を受けたりする可能性があります。 |
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実務対応 | 労働協約の体裁や記載内容によってはどの条項にどのような効力が生じるのかが不明確なケースもありますが、曖昧なまま妥結すべきではありません。 この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。 |
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Q6-3.労働協約の有効期間について、教えてください。
労働協約の有効期間 | 協約は3年をこえる有効期間を定めることができません(労組法15条1項)。3年をこえる有効期間を定めたとしても、有効期間を3年と定めた協約とみなされます(同条2項)。そのため、有効期間を定めた労働協約を締結した場合には、3年が経過することで有効期間は満了となります。 |
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実務対応 | 労働協約に有効期間を定めていたとしても、自動延長規定がある場合には、更新の問題が生じるため、有効期間以後の労働協約の有効性を慎重に検討する必要があります。 この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。 |
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Q6-4.労働協約の解約について、教えてください。
労働協約の解約 | 有効期間を定めない協約を締結した場合、当事者の一方が、署名または記名押印した文書によって相手方に予告をすれば、協約を解約することができます(同条3項前段)。一定の期間を定める協約であり、その期間の経過後も期限を定めず効力が存続すると定めた協約についても、その期間の経過後は、有効期間を定めない協約と同様に、当事者の一方が、署名または記名押印した文書によって相手方に予告すれば、解約することができます(同条3項後段)。この予告は、解約しようとする日の少なくとも90日前にしなければなりません(同条4項)。 なお、事者が合意により労働協約を解約する場合、90日以上前の予告は必要ありません。 |
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実務対応 | 使用者側から解約を検討する場合でも、事前の団体交渉実施の要否など、一筋縄ではいかないこともあります。 この場合は、多湖・岩田・田村法律事務所に、遠慮なく、ご相談下さい。 |
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当事務所では、常時、労働組合対応を行っています。具体的には、労働組合対応を専門的に行っている弁護士田村(弁護士歴約20年)を含む弁護士チームが、100件以上の組合対応経験(2024年現在)に裏打ちされたノウハウを駆使して、依頼者に助言しています。当然、団体交渉への同席も行います。
労働組合対応としては、事務折衝により迅速に解決が図られることもありますが、「情宣活動への対応」が求められることもあります。当事務所では、ご依頼者様に、ご安心いただけるよう、難易度に応じて、労働組合対応を専門的に行っている弁護士が複数のチームを構成することもあります。
労働組合を過度に恐れる必要はありませんが、他方において、油断することも禁物です。個々の案件の性質や規模、労働組合のタイプに応じた、適切な対応を行いますので、ぜひ、初回会議(無料)にて、当事務所が受任させていただいた場合の方針や見通しなどをご確認いただけますと幸いです。
ご連絡お待ちしております。
弁護士田村裕一郎