9.団体交渉のケーススタディ(事例検討)

労働組合対策のケーススタディ(事例検討)

Q9-1.合同労組から、便宜供与(組合事務所)の要求がありました。便宜供与(組合事務所)について、教えてください。

便宜供与(組合事務所)① 組合事務所
合同労組からは、組合事務所の貸与の要求を受けることが多いです。
合同労組の話だけを聞いていると、憲法上又は法律上の権利として、組合に組合事務所の貸与の請求権があると誤解してしまうことがあります。
しかし、組合は当然に組合事務所の貸与を請求する権利を有するものではありません。
なお、労働組合法との関係では、使用者が組合に対して事務所を供与することが、経理上の援助に該当するか、という論点がありますが、最小限の広さであればこれに該当しないと考えられています。これは、あくまで、組合事務所の貸与を受けていても組合の欠格事由である使用者からの経理上の援助には該当しないというだけであって、法律上、組合事務所の貸与請求権や賃料負担請求権が組合に認められているというわけではありません。
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Q9-2. 合同労組から、便宜供与(組合休暇)の要求がありました。便宜供与(組合休暇)について、教えてください。

便宜供与(組合休暇)② 組合休暇
合同労組からは勤務労働時間中の組合業務従事(組合休暇)の許可に関する労働協約の締結を求められることがあります。
当然のことながら、使用者にこのような労働協約の締結義務はありません(但し、誠実交渉義務はあります)。
合同労組からは、①組合活動がやむを得ない場合に該当すること、②使用者の承認を得ることといった条件付きで組合休暇の労働協約の締結を求められることがありますが、次のような判例がありますのでそれに応じるかどうかは慎重に検討する必要があります。
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Q9-3.合同労組から、便宜供与(チェックオフ)の要求がありました。便宜供与(チェックオフ)について、教えてください。

便宜供与(チェックオフ)③ チェック・オフ
合同労組から使用者に対し、組合と使用者との間の協定に基づき使用者が組合員である労働者の賃金から組合費を控除して、それらを一括して組合に引き渡すこと(チェック・オフ)を要求してくることがあります。しかし、使用者は、このようなチェック・オフに関する協定に応じなければならない義務はありません(但し、誠実交渉義務はあります)。
なお、チェック・オフについて労使協定不要という考え方もありますが、次の裁判例のとおり、判例上は労使協定は必要と考えられています。

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Q9-4.就業規則を改定する場合の合同労組対応を教えてください。

就業規則の改訂常時10人以上の労働者を使用する使用者には、所定の事項を記載した就業規則を作成することが義務づけられています(労働基準法89条)。これは、就業規則を作成させることによって労働条件等を明確化し使用者の恣意的な運用を防止することを目的としています。そして、使用者は、就業規則の改訂にあたっては、事業場の過半数組合、それがない場合には過半数代表者(労働基準法施行規則6条の2)の意見を聴かなければなりません。これは、就業規則の改訂に労働者の意見を反映させることを目的としていますが、ここではその意見を聴けば足り、協議することや同意を得るということまでは求められていません。労働基準法上の手続きという面では、使用者は労働者が反対していても一方的に就業規則を改訂することができます。

就業規則改訂に関する合同労組への実務対応としては、就業規則施行日の、3か月から半年前くらいには改訂案を合同労組に提示し、合同労組からの質問には丁寧に回答し、団体交渉を求められた場合には誠実に対応していくのが一般的です。また、事前に施行日や使用者の内部的意思決定の時期(取締役会や理事会の開催日など)を合同労組に開示した方が、より円滑に就業規則の改訂を行うことができると思います。
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Q9-5.合同労組から、組合員(当社従業員)がパワハラ・セクハラを受けたので、団体交渉に加害者(とされる従業員)の出席を求められています。対応方法を教えてください。

パワハラ・セクハラまず、パワハラ(パワーハラスメント)の定義は多義的ですが、例えば同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為を意味すると考えられています。パワハラは、上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれます。
職場におけるパワハラの具体的な例としては、個別具体的な事情を勘案する必要があるものの、退職勧奨、配転、暴力、仕事を取り上げることなどがあげられます。

次に、セクハラ(セクシュアルハラスメント)とは、「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に起因するものを意味します。セクハラには、①対価型セクシュアルハラスメントと②環境型セクシュアルハラスメントの2種類があります。

一般的には、意に反する身体的接触によって強い精神的苦痛を被る場合には、たとえ一回でも就業環境を害することとなり得ます。また、男女の認識の違いにより生じている面があることを考慮すると、被害を受けた労働者が女性である場合には「平均的な女性労働者の感じ方」を基準とし、被害を受けた労働者が男性である場合には「平均的な男性労働者の感じ方」を基準とすることが適切といえます。
合同労組からは、使用者に対して、パワハラ、セクハラの加害者を出席させよ、との要求がされることがあります。
実務対応としては、加害者を使用者側の出席者とはしないのが一般的です。その理由は、加害者は、使用者と利害が対立し得る関係にあるため、団体交渉の場において使用者側の出席者として出席させることは適切でない場合が多いからです。
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Q9-6.合同労組から、組合員(当社従業員)が無効な雇止めをされたので、団体交渉でこれを撤回するよう要求を受けています。対応方法を教えてください。

雇止め雇止めとは、期間の定めのある雇用契約の更新を拒否することを意味します。期間の定めのある雇用契約は、原則として、期間の満了によって終了します。そして、契約の更新は、形式的には新たな労働契約の締結と同一視することができるため、労働契約の締結自由の観点から、使用者による更新拒否は自由とも考えられます。
しかし、期間の定めのない契約と実質的に異ならない場合、または、雇用継続への合理的期待が認められる場合、労働契約法19条が適用されるため、雇止めに客観的合理的理由があり、社会通念上相当であることが必要になります。
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Q9-7.合同労組から、組合員(当社従業員)が無効な整理解雇をされたので、団体交渉でこれを撤回するよう要求を受けています。対応方法を教えてください。

整理解雇整理解雇とは、使用者が経営不振などのために従業員数を削減する必要に迫られたという理由により一定数の労働者を解雇することをいいます。整理解雇は、懲戒解雇などとは異なり、労働者側の事由を直接の理由とした解雇ではないことから、一般の解雇と比べてより具体的で厳しい制約が課されています。
整理解雇が有効となるための要素(要件)は、以下のとおりです。

ⅰ 人員削減の必要性
整理解雇が有効となるためには、まず、人員削減をする必要性がなければなりません。整理解雇を行いつつ新規採用をしたり賃上げをしたりといった矛盾した行動を使用者がとっている場合には、人員削減の必要性がなかったと評価される可能性があります。
もっとも、裁判所は、企業の経営実態に細かく立ち入って審査はせず、使用者の経営判断を基本的に尊重する姿勢をとっています。
ⅱ 解雇回避努力
次に、使用者が解雇回避努力を尽くしていたかが問題となります。一般的には、残業の削減、新規採用の縮減、余剰人員の配転・出向、希望退職者の募集などの手段をとって、解雇を回避するための努力を行っておくことが求められます。
ⅲ 人選の合理性
労働者の整理解雇がやむを得ないと認められる場合でも、解雇される者の選定について、客観的で合理的な基準を設定し、これを公正に適用することが求められます。「責任感」や「協調性」といった基準は、抽象的であるとして合理性が否定され、整理解雇が無効とされる可能性があります。
ⅳ 手続きの妥当性
さらに、使用者は、労働組合や労働者それぞれに対し、人員整理の必要性、解雇回避の方法、整理解雇の時期・規模・人選の方法などについて説明を行い、納得を得るために真摯に協議をしなければなりません。労働組合の合意を得ていた場合でも、解雇される可能性の高い労働者との間で協議がなされていなかったときには、手続きの妥当性が否定される可能性があります。
実務対応実務対応としては、以上の4要素(4要件)に関する①事実関係と②証拠関係を整理し、合同労組にねばり強く説明していくことが重要となります。合同労組が説明を聞かないという対応に出てきた場合には、書面にて説明をすることも効果的です

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Q9-8.合同労組から、組合員(当社従業員)に未払い残業代があるので、団体交渉でこの支払いを約束するよう要求を受けています。対応方法を教えてください。

未払残業代残業代とは、一般的に、残業によって生じる賃金をさし、労働基準法37条に定める割増賃金がこれにあたります。残業代は、労働基準法上の労働時間分に応じて発生します。最高裁は、労働基準法上の労働時間に該当するかについて、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるものではないとしています(三菱重工業長崎造船所事件(最一小判平成12年3月9日))。つまり、労働基準法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を意味します。
残業代の請求において問題となるのは、①時間外労働における時間と、②割増賃金の計算の基礎となる賃金額です。合同労組や労働者と、使用者との間で時間外労働に関する主張に齟齬がある場合、その齟齬がどこから生じたのかを探る必要があります。労働時間のとらえ方に相違がある場合は、そこをすり合わせていくことが重要になります。
また、②割増賃金の計算の基礎となる賃金額については、法令及び判例に照らし、使用者の計算根拠を示すことが肝要です。
なお、合同労組は、時効を意識しない請求をしてくることがありますが、使用者としては、少なくとも、2年間の消滅時効の援用することを忘れないで下さい。
実務対応

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Q9-9.合同労組から、組合員(当社従業員)に対する無効な配転を撤回するよう要求を受けています。対応方法を教えてください。

配転配転とは、労働者の配置の変更であって、職務内容や職務場所が相当の長期間にわたり変更されることを意味します。配転、特に転居を伴う配転は、労働者の私生活に大きな影響を及ぼすという側面を有しているため、無制限に許されるものではありません。
最高裁は、①契約による制約と、②権利濫用による制約という2つの制約を課しています(東亜ペイント事件(最二小判昭和61年7月14日))。

①契約による制約
まず、使用者の配転命令が有効となるには、配転命令権が労働協約や就業規則の定めなどによって労働契約上根拠づけられていることが必要です。
また、職種や勤務地を限定する明示ないし黙示の合意があるときには、配転命令権はその合意の範囲内のものに限定されます。

②権利濫用法理による制約
次に、使用者の配転命令が有効となるには、配転命令権の行使が権利濫用にあたらないことが必要です。
最高裁は、業務上の必要性が存在しない場合、または、必要性が存在するとしても、配転命令が不当な動機・目的をもってなされた場合、労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものである場合などは、特段の事情が存在しない限り、配転命令は権利濫用で無効になるとしています(前掲東亜ペイント事件)。
業務上の必要性については、「余人をもって代えがたい」という高度の必要性までは要求されず、労働者の適正配置や業務運営の円滑化といった事情があれば足りると考えられています。不当な動機・目的としては、配転によって退職に追い込むという目的などがあげられます。著しい不利益の有無については、病気の家族の介護ができなくなるといった事情があると、権利濫用とされる可能性があります。

合同労組との関係における実務対応としては、上記①契約による制約の事例でない限り、配転に関する業務上の必要性や、不当な動機・目的がないことを、合同労組に対して、説明していくことになります。一般に、配転については、使用者に広い裁量が認められますので、使用者が、必要にして、十分な証拠をそろえ、一貫した主張をしていけば、合同労組もこれを受け入れる場合が多いといえます。
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当事務所では、常時、労働組合対応を行っています。具体的には、労働組合対応を専門的に行っている弁護士田村(弁護士歴約20年)を含む弁護士チームが、100件以上の組合対応経験(2024年現在)に裏打ちされたノウハウを駆使して、依頼者に助言しています。当然、団体交渉への同席も行います。

労働組合対応としては、事務折衝により迅速に解決が図られることもありますが、「情宣活動への対応」が求められることもあります。当事務所では、ご依頼者様に、ご安心いただけるよう、難易度に応じて、労働組合対応を専門的に行っている弁護士が複数のチームを構成することもあります。

労働組合を過度に恐れる必要はありませんが、他方において、油断することも禁物です。個々の案件の性質や規模、労働組合のタイプに応じた、適切な対応を行いますので、ぜひ、初回会議(無料)にて、当事務所が受任させていただいた場合の方針や見通しなどをご確認いただけますと幸いです。

ご連絡お待ちしております。

弁護士田村裕一郎